富士北麓エリアはもう霜が降りてきて朝一番は地面が白くなり始めました。
先日の芝草学会見学会では、一応テーマが寒冷地ティフトンの生育状況を見てもらうというふれこみでしたが、「まあこのエリアでもティフトンいけるよ!」的に紹介したつもりです。
いろいろ質問やご意見をいただく中で、やはり気になることについてワタクシの意見表明をしておきます。
今回の見学地3か所とも年間維持費は平米当たり100円かそれ以下です。さらにティフトンポット苗主体なのでトータルのコストもかなり安いわけですが、業者さんたちから見れば「そんなに安くやられたら困るんだよねー」という本音というかイヤミも聞こえてきます。業者さんたちが施工すればやはり、お値段は校庭1校当たり数百万どころか2、3千万円ということになったりします。
業者さんが専門家としての威厳と適正な人件費を加算していけば、特に業者さんが悪徳にお金をつり上げているわけではないと思いますし、大規模校で踏圧条件の厳しい校庭であればなおさらかと思います。
しかしながら、ワタクシの手がけているような小規模校では踏圧も激しくなく、日照条件も良好で地域のヒト・モノといった社会資源(ソーシャルキャピタルっていったほうがいいのでしょうか?)もそろえば、結構な低コストで芝生化が可能です。
この状況に造園業界の方々は、われわれのような芝生ボランティアが芝生市場を荒らして自分たちの仕事がなくなるのではないか?そんなことされたら困るよ!と反応する気持も理解できないわけではありません。
でもよくよく考えてみてください。校庭芝生化の掛け声がかかってからすでにもう30年、40年と時間が経過し、いまだに全国で芝生化率は5%未満です。この普及スピードは業者価格帯の芝生化だけでは、遅々として進まなかった歴史を物語っており、この構図では絶対に速くはならないと断言できます。早急に転換しなければ、あとの95%の潜在的市場があっても、「そんなお金があるんだったら他のことに使ったほうがよい。そもそも土の校庭で何がいけないの?」と言われてしまうだけで、市場の開拓どころではなく、校庭芝生化計画自体が流行りの仕分け対象にすらなってしまいそうです。
すべての学校を数千万円で施工しては、子供たちのための芝生化といいながら、一方で多大な借金を子供たちに背負いこませることにもなりかねないという危惧さえあります。
そういった意味では、まずはどんな芝生化でもいいからできるところから始めていくことが重要なのではないかと思います。各学校の条件を見極めてとにかくできそうなところから例数を増やしていこうとワタクシは思っています。近視眼的な思考では芝生業界衰退が待っているだけです。
社会学や経済学でよく語られるイノベーション理論というやつでは、モノ・コトの普及は全体の16%の普及率に達してくると急速に普及のスピードが加速し、30%を超すようになってくると、多くの人が「周りはみんなやっている」と認識しだす法則性があるといわれています。ちょうど子供がおもちゃを親にねだるときに「友達みんなが持っていて無いのは僕だけだよ」という心理状態になる普及率はここら辺の数字です。
普及率が急上昇し30%を超すようになれば、「校庭を土のままにしておくのは、学校や自治体の努力不足」という世論になるはずで、この状況になって初めて学校やお役所の横並びのスタンスは崩壊するわけです。
とにかくこのあたりの数字を目指して業界もボランティアも専門家も素人も、なんとか協力し合って校庭芝生化を推し進めていくことが大切なのではないかと思います。
そしてその先には、業者さんや芝生の専門家には、もっともっと大きくて多様なニーズと市場が待ち受けているように思います。
どうでしょうか?